アウトリーチセンター
桜が丘
はじめに
これまで当院ではうつ病治療に特化した病院作りを目指してきましたが、精神保健医療福祉を巡る昨今の状況の変化を鑑みると、今後は統合失調症を含む既存の入院患者の更なる地域移行推進とともに、益々増加が予想される高齢者のうつ病対策が重要な課題となっていくと思われます。
そのため、医療・保健・福祉の連携をより強化し、自ら社会とのつながりを持つ事ができない重い精神障害を持つ方々に対して支援を展開していく上で、従来の「待つサービス」から「出向くサービス」へと方向転換する必要があると考えました。
こうした目的を達成していくために、当院でも独自のアウトリーチ事業を模索することとなり、地域生活支援と訪問診療・看護、ケアマネジメントが一体となった新たなサービス体系の立ち上げを目指し平成24年5月のアウトリーチセンター桜が丘を創設するに至りました。
理念
精神科ユーザーのニーズに対して
最適なチーム構成で関わり、
入院治療から地域生活に及ぶ様々なケアの領域を総合的にマネジメントし、
利用者に対し有効かつ適切な
ケアのネットワークを形成して
本人が望む地域生活の継続や質の向上、
社会との繋がりを持てるようになる
ための支援を実施、
内治療的な関係性を重視した包括的な
治療システムの構築を目指します。
目的
- 入院治療と訪問支援・訪問診療等のより生活域に近い在宅医療との連携を図り、利用者の皆様の地域生活の定着が図れるよう支援を行います。
- 受療中断者・未受診者・ひきこもり状態の方・病状が不安定な方に対する支援を行います。
- 関係機関から相談のあった心理行動障害(BPSD)のある者に対する支援を行います。
※3に関しては特に認知症とそれ以外の精神障害(うつ病等)とを鑑別し、県が行う認知症対策(熊本モデル)との整合性に配慮しつつ適切な支援を行います。
対象者
- 年齢:16歳以上。
- 居住地:桜が丘病院から車で1時間以内。
- 主診断:認知症(F0)、統合失調症(F2)、気分障害(F3)、神経症性障害(F4)、パーソナリティ障害(F6)、発達障害(F8)。
※ただし、副診断に限り物質使用障害(F1)およびIQ50以上の軽度知的障害も対象とします。 - 当院通院中で病状が不安定な方については全般生活機能(GAF)50点以下で、なおかつ以下のうちいずれかもしくは両方を満たすこと。
a)入院回数2回以上
b)入院日数100日以上 - 受療中断者については3ヶ月以上通院を拒否もしくは中断している方のことを言います。
担当スタッフ
- 医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士等からなる超職種チームで支援します。
- 外来診療・訪問看護・通所サービス(デイケア)・地域移行推進室を1つのチーム(アウトリーチチーム)としてマネジメントを行ない、利用者のニーズに合わせたチーム構成にて支援を行います。
支援内容
- 在宅訪問診療
- 電話連絡
- 相談面接
- 支援導入のための訪問
- カンファレンスへの参加、開催
- ケア会議への参加、開催
- 広報誌作成、配布
- 関係機関への挨拶廻り
- ケアマネジメント
- 支援計画の立案
- 往診
- 薬剤処方
- 外来診療
- 家族相談
- 精神科訪問看護
- 退院前訪問指導
- 介護保険連携指導料
- 診断書、情報提供書作成
実施までの流れ
- ご依頼 本人・家族・関係機関より依頼があります。
- 初期アセスメント フェイスシートを利用し、情報収集を行います。
- 利用可否の検討 スタッフミーティングにて、利用可能かどうか検討します。
- 契約手続き 利用者と契約を結びます。
- 包括的アセスメント 支援計画の作成を行います。
- 初回訪問 初回訪問を実施します。
- 支援状況確認 支援状況のモニタリングと支援計画の見直しを行います。
- 評価・修正 支援計画の評価・修正を行います。
- 実施完了 終結または地域サポート機関へ移行を進めていきます。
最後に
アウトリーチ活動を実践していくには、地域の各関係機関の皆様との連携がとても重要になります。今後とも相互に連携しコミュニケーションを繋ぎながら共に支援を行なっていきたいと思っております。
詳しくお話をお聞きになりたいと思われましたら、まずは、担当の大嶌(おおしま)までお電話ください。どうぞよろしくお願い致します。