統合失調症治療
統合失調症の治療
統合失調症の治療は、ご本人の生活の質の向上とリカバリーを目指すことであり、薬物療法と心理社会的治療の双方が両輪として働きます。
薬物療法
重症例や治療抵抗性統合失調症
薬の効果が認められなかったり、強い幻覚や妄想がある状態の時は、電気けいれん療法(m-ECT)、クロザリルが選択される場合もあります。この場合、必ず主治医が患者さん本人と、ご家族に治療の説明を行い、実施の同意を頂いた上で、治療を実施します。
急性期治療
急性期治療では、適切な薬物療法が行われることが極めて重要になります。従来の治療薬と比べて錐体外路症状などの副作用が軽減された新規抗精神病薬が第一選択薬として推奨されています。ただし、代謝性の副作用には注意を要する場合があります。
精神病症状からの回復以降の治療
精神病症状からの回復が得られて以降は、症状の安定化と再発予防のために、安易に断薬せずに維持療法を行う必要があります。毎日の経口薬による治療方法の他に、最近では月1回などの頻度で行われる持続性注射製剤を用いた治療法を選択することもできます。
心理社会的治療
まずは病気を自己管理していくために必要な正しい知識を得るため、疾病教育(心理教育)が大切です。疾病教育は、ご本人のみならず、適切な支援を得るために、ご家族にも受けていただくことが有効です。当院では、統合失調症の患者さんのご家族を対象とした、勉強会を3カ月に1回実施しています。
また、幻聴や妄想に対する対処能力の獲得や、再発兆候の早期の把握を目的とした認知行動療法的アプローチや社会生活技能訓練(SST)など、包括的な治療が行われる必要があります。
そして、リハビリテーション(作業療法)、退院支援、デイケアや作業所の活用、就労支援などにより社会参加が促進され、地域における自分の居場所や役割を再構築します。そうすることで、病気と向き合いながらも健康な機能を維持し、生きがいや自尊心を回復することができます。