統合失調症とは

統合失調症とは

人間の脳は、こころやからだの働きを統括しており、周囲の情報を認識したり、感情をコントロールしたりしています。しかし、統合失調症では、何らかの原因で、この脳機能のバランスがくずれてしまい、情報の認識や感情が統合されなくなります。つまり、統合失調症とは、日常生活に支障を来たす認知機能障害により特徴づけられる疾患です。

好発年齢は思春期から青年期ですが、以前より壮年期以降の遅発例も増えています。
統合失調症の病因については、残念ながら現時点では解明されていません。しかし、近年の研究成果により、長年薬理効果に基づく仮説にすぎなかったドーパミン過剰放出と精神病症状の関連が確認されています。また、病初期の数年間に側頭葉や前頭葉におけるごく軽度の萎縮を伴うなどの脳構造変化を生じることが報告されています。一方、病態仮説としては「脆弱性ストレスモデル」が提唱され、統合失調症への脆弱性を持つ個体に閾値を超えたストレスが加わることによって、精神病エピソードが生じると考えられています。

症状

陽性症状

  • 不思議な体験(幻視・幻聴・幻臭・幻触など)
  • 事実にないような事を考えたり話したりする(妄想)
  • 自分や他人の考えが伝わる感じがする
  • 考えの混乱、話題の飛跳
  • 奇妙な行動、興奮

陰性症状

  • 感情鈍麻(関心が持てない・何もしたくない・身なりを気にしない)
  • 思考力低下(了解の悪さ・返答に時間がかかる・気持ちを伝えにくい)
  • 無為自閉(対人関係がうまく取れず、ひきこもる)

認知機能障害

  • 情報処理の困難さ
  • 集中力や持続力の低下(気が散りやすい・根気がない・一度にたくさんの事が出来ない)

経過

経過は様々な要因の影響を受けて個人差がありますが、急性の精神病性エピソードを繰り返しながら慢性経過に至ることが多いとされてきました。しかし、近年の知見では、精神病発症から治療介入までの未治療期間が予後に大きく影響することが分かっています。早期治療介入により進行性の脳構造変化や認知機能低下を予防し、長期の社会機能を改善させることができると考えられるようになりました。
現在は病状の軽症化傾向が唱えられ、長期入院治療から地域ケアによる外来治療中心の時代へと移りました。かつての「進行性で治療困難な疾患」というイメージから脱却し、「早期発見・早期介入により治療回復可能な疾患」となっています。

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