認知症治療

認知症治療

認知症の治療は、認知機能障害そのものに対する治療と、二次的に起こってくる精神面・行動面の症状(BPSD)に対する治療とに分けられます。

認知機能障害そのものに対する治療

薬物による治療

アルツハイマー型認知症

治す薬はありませんが、進行を遅らせる薬が4種類あり、重症度により保険で使える薬が決められています。背部や胸部に貼るパッチ剤もあります。

レビー小体型認知症

進行を遅らせる薬で保険が使えるのはアリセプトだけ(その後続品は適用外)です。

前頭側頭型認知症

いまのところ、進行を遅らせる薬はありません。

脳血管性認知症

治療薬はありませんが、原因となる脳梗塞が増えない限り進行しません。食事や運動などの生活習慣を改善することで血糖値やコレステロール値を正常に保ち、脳梗塞の再発を防ぐことが大切です。

手術で治療可能なもの

正常圧水頭症

特徴的な3症状(認知症様症状、尿失禁、歩行障害)がみられ、CTやMRI、髄液タップテストで診断できます。髄液の流れを良くする脳外科手術(シャント術)により、改善する可能性があります。

慢性硬膜下血種

転倒などで頭を打ってから1~3か月経過後に、物忘れなど認知症のような症状が現れます。脳を包む硬膜の内側に血種を生じたもので、CTで診断でき、血種除去術により多くの場合改善します。

リハビリテーション(作業療法)

手足の麻痺などの場合、運動により機能が回復するのと同様、脳に適度の刺激を与え、脳をできるだけ使うことで、残っている機能を賦活し、認知症の進行を抑制することができます。
音楽、スポーツ、ゲーム、創作活動などいろいろな専門的手法を用います。病院では作業療法士がこれらを行いますが、老健施設のデイサービスなどでもそれに類することが行われています。

二次的に起こってくる精神面・行動面の症状(BPSD)に対する治療

家庭や施設で生活している認知症の人に、興奮、暴言・暴力、盗られ妄想、徘徊、夜間せん妄、抑うつなど精神面・行動面の症状(BPSD)が出てくると、介護者はその対応に疲れ果ててしまいます。
これらの症状の多くは、日常の状況判断や行動がうまくできなくなったことが本人にとっての大きなストレスとなり、その反応として生じるものです。
状態によっては、危険から本人を保護し、緊急に治療を行うために、精神科病院への入院が必要となることもあります。

非薬物療法と薬物療法

「非薬物療法」といって、日課やケアのしかたを工夫して、その人が安心して生活できる環境を作ってあげたり、上述のリハビリテーション(作業療法)を用いたりすることで、症状が改善することも少なくありません。
しかし、「薬物療法」が必要なケースもあり、抗精神病薬などいろいろな種類の薬を用いますが、高齢者では副作用が出やすいため、なるべく少量を処方するようにします。

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