認知症とは
認知症とは
認知症は、正常に発達した知能が衰えた状態です。
最初は人や物の名前が出てこない物忘れの症状から始まることが多い病気です。
次第に良く知っているはずの出来事や人物の名前を思い出せなくなり、日にち、時間もはっきりしなくなります。
人によってはお金や貯金通帳を盗まれたと言い出したり(物盗られ妄想と言います。)、現実にはいない人の姿を見て(幻視と言います)怖がることもあります。
また、徘徊や興奮などを起こして介護する人が大きな苦労をすることになります。人が替わったような性格変化を起こすこともあります。認知症は早く診断して、その人に合った治療や援助、介護を行う必要があります。
人によっては、認知症と正常の中間の状態(軽度認知障害と言います)のこともあり、正常に戻すことも可能な場合があります。そのためには、認知症の中のどのタイプであるかを見極める必要があります。
主な認知症のタイプと特徴
1.脳血管性認知症
小さな脳梗塞が沢山できることが原因です。血圧や血液中のコレステロールを正常に保ち、糖尿病があればきちんと治療すれば予防できます。
2.アルツハイマー病
脳にアミロイドと呼ばれるたんぱく質がたまり、神経細胞が減少する病気です。初期にはうつ病の症状を示すこともあります。物忘れ、日時への無関心、物盗られ妄想など見られます。進行を遅らせるお薬が健康保険で使えます。
3.前頭側頭型認知症
まるで人が入れ替わったような性格変化が特徴です。また、決まった時間に決まったコースを散歩したり、毎日同じ料理を作るなど決まりきった生活パターンをとることが特徴です。
4.レビー小体型認知症
レビー小体というのは、神経細胞の中に異常なたんぱく質が貯まり小さな球状またはヒモ状に見える構造を言います。レビーというのは発見者の名前です。レビー小体病では、主に夜間に人影等の幻視を見ることが特徴です。他の症状はアルツハイマー病に似ています。進行を遅くするお薬が健康保険で使えます。
5.正常圧水頭症
脳の外側や内部の脳室と呼ばれる隙間に液体(髄液と言います)が、溜まって脳を圧迫しているものです。3つの主な症状があります。認知症、尿失禁、歩行障害です。歩行障害は両足の裏が床にカタカナの「ハ」の字の逆になるように着くことが特徴です。CTやMRIで診断できます。脳外科の手術で髄液の流れを良くすることで改善します。
以上のように認知症には種々の種類があり、それぞれの認知症を治療するにはお薬での治療だけではなく、様々なリハビリテーション(作業療法)などを組み合わせ生活する際の介護が必要です。
桜が丘病院では介護保険の診断書作成、成年後見制度の診断書の作成など様々な方法で認知症の方々、その後家族の方々への支えを行っています。
なお、2018年8月に開設した「新町メンタルクリニック」で、認知症に関する診療や相談の日を設けています。