トップ > 月間特集 : 作業療法「OT(リハビリテーション)」

月間特集 作業療法

OT(リハビリテーション)

桜が丘病院 作業療法部 田尻威雅

精神科治療は主に、1.医師が行う精神療法(診察)、2.薬物療法、3.リハビリテーションの3つを組み合わせることで効果的に治療できると言われています。
 当院の作業療法は、その中の“3.リハビリテーション”を担っています。当院OTの特徴は豊富なリハビリテーションプログラムです。病棟ごとに特徴のあるOTを展開しており、大グループから小グループまでそれぞれの目的に合わせた作業療法を、週に合計44コマ実施しています。

OTスタッフは“温かさ”を大切にしています。一人ひとりの話を聞く時に、その言葉の中にある気持ちに耳を傾けることから作業療法(OT)は始まります。
 創作活動や運動などすべてのOT活動でコミュニケーションをとることが可能です。患者さんがその中で、様々な“気付き”を経験し、さらに楽しさやおもしろさを感じ、それぞれの目指す健康的な生活へ向かうえるようになります。私たちはその伴走者のような役割を果たしたいと考えています。

また、OTでは病気の回復の指標を“心と身体の力”とし、一人ひとりに合った体力作りの提案をしています。それは、病気で消耗してしまった体力をつけるということを本人と話し、イメージを共通目標とすることで、回復へのわかりやすい指標となるからです。

創作活動内容

高齢者病棟でのOT

高齢者リハビリテーショングループ「ひまわりクラブ」では、曜日ごとにテーマと目的を決めて実施しています。全OTスタッフをローテーションで配置し、それぞれの特性を活かし患者さん個々を大切にした治療を実施しています。

統合失調症病棟でのOT

この病棟での作業療法のポイントは、健康な所を伸ばすということです。自分自身が“良いと思っている所”“気付いていない良い所”に目を向け、強めていきます。そして、さまざまな問題を集団・個人の力を活用しカバーすることで、病気をコントロールし、「~したい」「~なりたい」というニーズに近づき、“患者さんが望む生活を、その人らしく送れるよう”に支援していきます。

うつ病病棟でのOT

うつ病作業療法では、患者さんが“楽になった”と感じることが重要です。そのためには、「治療の主体は自分自身」ということに気付き、体感していただきたいと考えています。
 急性期の患者さんを対象とするため、
①心身とも負荷が少ないリラクゼーション
②楽しみからゆとりに繋がるような創作活動
③再発予防のために病気への理解を深めるような心理教育
④体力づくりを目的とした「運動グループ」
などを実施しています。すべてのプログラムを通して家庭復帰や復職など、それぞれが望む生活への土台作りを行っています。

創作活動内容

 うつ病のリハビリテーションでは、“休息”ということを大切にしています。患者さんの中には、頑張りすぎてしまう方・力がなかなか抜けない方がいらっしゃいます。様々な活動を通して、休息の上手な取り方や休息の大切さの気付きに繋げています。 また、「少しずつ自分の傾向が分かってきた」「改めて、今やっている事が大切だと感じた」などの声を頂くことがあります。これは、回復へのもどかしさや病状の捉えづらさを感じている患者さんにとって、この気付きが回復の第一歩であり、リハビリを行う上でとても重要です。

精神科訪問看護でのOT(訪問OT)

当院では、複数の作業療法士が月に約100件、訪問して作業療法を行っています。リラクゼーションなどで身体を動かし“快の刺激”を得ながら、ゆっくりと話をすることができるので、作業療法士への訪問の要望が増えてきています。
 利用者の方々からは「退院したのはいいけど、以前に病状が悪くなった所に帰ってきたので、具体的に何か役に立つようなことをして欲しかったので良かった」「満足したというか、ホッとしました」「体を動かしながら話を聞いてもらうとスッキリします」などの声を頂いています。
 具体的な支援として、
①今この場の満足度(リラクゼーション;呼吸法・リンパマッサージ・筋弛緩法などでしっかり疲れをとり、心身の基本的な機能を回復する)
②心理教育の復習(病気の学習)
③本人と家族・主治医とのパイプ役
④身体リハアプローチ
を必要に応じて行っています。

地域でのOT

4市町村から不登校・ひきこもりへの学童メンタルヘルス支援を委嘱され、2名の作業療法士が取り組んでいます。そこでは主に、集団に働く効果を活かしたグループワークを担当しています。

研究
研究発表会の様子

平成19年より3年間、日本作業療法士協会が受託した厚生労働省障害者保健福祉推進事業「医療におけるリハビリテーションのあり方に関する研究」に、協力施設としてモデル的実践を行いました。
 そして、平成22年6月には当院スタッフによる研究報告会を、100名以上の参加者を集め開催しました。

実習受入

9つの作業療法士養成校から実習生を受け入れています。

今後の目標

常に全スタッフが患者さんの声を大切にし、満足度の高いリハビリテーションを提供できることです。そのためには、たくさんの声を聞いた上で、作業療法というリハビリテーションの専門性を活かしたチームを作っていき、それぞれの方が思う「こうなりたい」を支援していきたいと考えています。